日々の名残り~The Remains of the Days~

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見にくいアヒルの子

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えむの毎日の散歩コースには、白鳥のたまり場があります。
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もうそろそろ、シベリアやオホーツク海沿岸へと旅立つのでしょうか?
皆さん、慌ただしくバタバタしていました。
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見にくいアヒルの子

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むかしむかし、あるところにおほりに囲まれた古いお屋敷がありました。
そのおほりのしげみの中で、一羽のアヒルのお母さんが巣の中のタマゴをあたためていました。
やがてタマゴが一つずつ割れると、中からは黄色い色をしたかわいいひなたちが顔を出します。
ですが、巣の中で一番大きなタマゴだけが、なかなか生まれてきません。

しばらくたって、やっとタマゴが割れたと思ったら、ヒナの姿が見当たりません。
そう!一足遅れて生まれたそのヒナは、大きな図体からは信じられないほど影が薄く、その影の薄さは眼前の相手にも気付かれないほどなのです。
見にくいアヒルの子はどこへ行っても特段いじめられ、つつかれて、かげ口をたたかれたりすることはありませんでした。
なぜなら、気づかれないから!
はじめのうちは見にくいアヒルの子を必死に探していたお母さんも、しまいには、その存在さえ、時折忘れてしまうようになりました。
目の前にいるのに気付いてもらえない事に見にくいアヒルの子はショックを受け、自分の居場所を求めて旅立ちます。
あてもなく飛び出しましたが、どこに行っても気づいてもらえないアヒルの子。
アヒルの子は人目につく場所を選んでアピールをし、気づいてもらっては「あれ!いない!旅のアヒルの子はもう旅立ってしまったのか・・・。(目の前にいます。)」「あれ!さっきまで誰かとしゃべっていたような?」といった具合にすぐに忘れさられてしまいます。
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季節はいつの間にか、秋になりました。
そんなある日、アヒルの子はこれまで見たこともないような、美しいものを目にしました。
それは、長い白鳥の輝かしい歴史の中でも特に「最強」と呼ばれ、無敗を誇った10年に1羽の美しさの白鳥が5羽同時にいた「キセキの世代」と呼ばれている白鳥のむれでした。
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見にくいアヒルの子はあっけにとられて、その美しい烏たちが空のかなたへ去っていくのを見送っていました。
「あんな華やかな鳥になれたら、どんなにか幸せだろう。いや、アヒルの仲間にさえ気づいてもらえないくせに、そんな事を考えてどうするんだ」
冬が来て、沼には氷が張りはじめました。
アヒルの子はアシのしげみにじっとうずくまって、きびしい寒さをたえしのびました。

そのうちに、お日さまはしだいにあたたかさをまし、ヒバリが美しい声で歌いはじめます。
ついに、春が来たのです。
アヒルの子は体がうきうきしはじめると、つばさをはばたいてみました。
すると体が、浮くではありませんか。

「ああ・・・。飛んだ・・・ぼくは飛べるようになったんだ!」
アヒルは夢中ではばたくと、やがておほりにまいおりました。
その時、おほりにいた白鳥たちが、いっせいに近づいてきたのです。
「こんなにたくさんの鳥に注目されたのは初めてだ!」

白鳥たちはアヒルの子の周りに集まると、恐る恐るこう言いました。
「あなたは、もしや!オーストラリアに生息する固有種で幻の鳥とまで言われた黒鳥さんではありませんか?」
「えっ!なんだって!」
驚いたアヒルの子が、ふと水の上に目を落とすと、そこにうつっていたのは、もう見にくいアヒルの子ではありません。
くちばしは赤く、先端付近に白色の斑点があり、虹彩は赤色。羽毛は全体が黒色だが、初列風切羽から二列風切羽の外側にかけてが白色である実に華やかな姿なのです。
青空でも、夜空でもその姿は、自らが空の支配者と言わんばかりの風格です。
「そう!私がプリマドンナよ!!!」
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憧れた白鳥の姿など霞んで見えるほどに堂々と風格のあるその姿に道行く鳥たちだけでなく、すべての動物たちが注目します。
「ぜひとも、うちの群れのセンターになってほしい!」と眼鏡をかけた小太りの白鳥が言ったのを皮切りに、次々に白鳥たちは黒鳥に声をかけます。
「どこにだって、僕の居場所は作れる!みんなと同じくなるだけが正解ではないんだ!」


めでたし!めでたし!

その後、長い白鳥の輝かしい歴史の中でも特に「最強」と呼ばれ、無敗を誇った10年に1羽の美しさの白鳥が5羽同時にいた「キセキの世代」と呼ばれている白鳥の群れにその五匹を凌ぐほどの存在感と美しさを持った「幻の6羽目」が誕生し、全国制覇を三回制覇したお話と「国民的アイドルグループ」のセンターとなり、がん保険のCMに出た話は、また別の機会に!




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